婦人科子宮頚部細胞診 第1章
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–11–3.標本作製工程1)採取器具 婦人科領域の擦過細胞診採取器具には、先端部の形状や材質の違った様々なブラシが存在する。擦過ブラシ部分を固定液でよく濯ぎ、ブラシ先端部が分離可能なものは先端ごとバイアルへ保存することによりコンタミネーションを防ぎ、採取したすべての細胞を回収することが可能となる(図4)。2)検体の固定 婦人科領域の擦過細胞診検体の固定および保存には婦人科・口腔用バイアルを使用する。このバイアルに含まれる固定液はエタノールベースで、他に溶血成分および粘液処理剤が含まれておりバイアル内にて夾雑物である赤血球および粘液成分が処理される。検体採取直後にバイアルをよく撹拌することで、これらの夾雑物処理が進み、より見やすい標本が作製される。 バイアル内の粘液成分が処理されず塊状に残っている場合はダイルート液(図5)を適量追加し、ボルテックスミキサー等によりよく混和することで追加の処理を行う。また、強い出血が認められる場合には検体をバイアルではなく婦人科用ライシス液(図6)を入れた別容器に採取し、あらかじめ溶血操作を行った後、沈渣のみをバイアルへ入れることで出血の影響を低減させることが可能である。図5 ダイルート液図6 婦人科用ライシス液子宮頚部の細胞を採取するよくすすぐしっかりフタを閉める採取用のブラシを用いて、細胞を採取する。ブラシの先端をバイアル内に入れてフタをする図4 細胞採取方法ブラシ先端をバイアル内に入れ左右に数回回転させ細胞を洗い落とす。

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