婦人科子宮頚部細胞診 第4章
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–82–3)集塊で出現している細胞の観察集塊は従来法と比較すると断片化する傾向にあるが構造異型は保たれている。従来法と同様に細胞の配列、核の大小不同、クロマチン異常など鑑別所見になる。ただ、細胞質不明瞭な細胞集塊では、扁平上皮系、腺系、あるいは組織球系か鑑別困難な場合がある。集塊辺縁の個々の細胞の細胞質を観察する必要がある(図9)。4)核の観察クロマチンは細かく、核は明るくなり核小体が明瞭になる傾向にある。Cellprep®に慣れないうちは、クロマチンが微細で、クロマチンの増量を判定できないケースや、核小体が明瞭なために非腫瘍性腺系細胞を腺癌細胞としてしまうケースがでてくるかもしれないので注意を要する。個々のクロマチンパターンの異常自体は明確に認識することができ、核異型や核縁肥厚などもしっかり観察することができる。しかし、クロマチンパターンのみでは鑑別困難な症例もあるので、細胞質の性状、N/C比、細胞の大小不同、細胞配列など総合的に判定することが重要である(図10、図11)。核染色は従来法よりやや長めに設定する事で従来法とより近い感覚で観察できるので、これを推薦したい。3.Cellprep®導入後の判定の変化について 子宮頸部細胞診判定はベセスダシステムに準拠し、検体の適・不適を評価したうえで、判定は推定病変を併記している施設が多いと考える。我々の経験では、Cellprep®導入後、細胞所見の図9 子宮頸部:SCCCellprep®図10 子宮頸部:NILM(未熟型扁平上皮化生細胞)Cellprep®Cellprep®図11 子宮頸部:HSIL(CIS)

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